思考力と独創性を伸ばす!数学オリンピックとは?

2021年、東京オリンピックと同時期に「国際数学オリンピック」がオンラインで開催されました。東京オリンピックと同様、国際数学オリンピックもメダルラッシュとなり、注目を集めています。

とはいえ、知名度が低いため、「数学オリンピック」の名前を聞いたことがあっても、どんなことがおこなわれているかまで知っている人は少ないのではないでしょうか?
そこで今回は、数学オリンピックの概要とそのメリットについて解説します。

数学オリンピックってなに?

数学オリンピックと呼ばれているものは3つあります。

・国際数学オリンピック(International Mathematical Olympiad:略称 IMO)
・日本数学オリンピック(Japan Mathematical Olympiad:略称JMO)
・日本ジュニア数学オリンピック(Japan Junior Mathematical Olympiad:略称JJMO)

では、それぞれ解説していきます。

国際数学オリンピック(IMO)

「国際数学オリンピック(IMO)」とは、世界各国の高校生以下の生徒を対象に毎年7月におこなわれている数学の問題を解く能力を競う大会のことです。1959年にルーマニアで開催されたのが始まりです。1990年の中国大会から日本は参加しました。

テストは1日4時間半かけて2日間でおこなわれ、3問ずつの計6問を解いていきます。出題範囲は、国際バカロレアの基準による高校2年生程度まで。とはいえ、たったの6問を9時間かけて解くわけですから、単純な計算問題ではありません。さまざまな分野の知識を必要とする問題が多く、ほとんどの選手が解けないような超難問もあるといいます。

出場できるのは1カ国につき最大6人までとなっています。日本代表として参加するためには、日本数学オリンピック(JMO)で上位に入賞しなければなりません。

日本数学オリンピック(JMO)

「日本数学オリンピック(JMO)」は、国際数学オリンピックに出場する選手を選ぶための数学コンテストです。大会の流れは以下のとおり。

1月:予選(Aランク者の約200名が合格)
2月:本選(AAランク者の約20名が合格)
3月:AAランク者による春の合宿で6名を選抜
7月:国際数学オリンピック

2020年は約4,767人が予選に参加し、予選を勝ち抜いた217人が本選に進みました。

本選で入賞した上位20人で合宿がおこなわれ、代表の6人が決まる仕組みです。代表選考合宿に参加できるのは原則高校2年生までとなっています。

日本ジュニア数学オリンピック(JJMO)

国際数学オリンピックも日本数学オリンピックも高校生以下が対象ですが、難易度を考えると本選に出場できる中学生はほとんどいません。そのため中学生向けの「日本ジュニア数学オリンピック(JJMO)」があります。

2003年に日本で国際数学オリンピックが開催されたことを記念として始まった大会です。

日本数学オリンピックと同時期に予選・本選があり、AAランク者のうち上位5名は春の合宿への参加資格を得られます。中学生にとっては、いきなり日本数学オリンピックに挑戦するよりも代表選手になれるチャンスがあるといえるでしょう。

数学オリンピックを目指すメリット

数学オリンピックを目指す高校生は増加傾向にあります。なぜならば、数学オリンピックに参加することで得られるメリットがたくさんあるからです。

他校生と仲良くなったり、一生の記念になったりするのはもちろんのこと、それ以外にどのようなメリットがあるのでしょうか?

大学の推薦入学試験の出願資格が得られる

国際数学オリンピックの世界大会に出場できなくても、本選で結果を残し合宿に参加できれば一部の大学の推薦・AO入試に出願する資格を得られます。しかも、その中に国公立大学や有名私大も含まれているのです。

たとえば、早稲田や慶応などは予選通過レベルで推薦の出願資格がもらえます。偏差値の高い大学への入試を優位に進めるためにも、数学オリンピックの参加はおすすめです。
また、数学オリンピックの成績を出願条件にしている推薦・AO入試もあるので、各大学の募集要項を早めに調べておきましょう。

思考力や独創性を鍛える

数学オリンピックの問題は超難問が多く、何時間もかけて考えないと問題が解けません。問題を解くためには、大学入試のようなテクニックではなく、思考力と独創性が必要です。パズルを解くときのような考え方とひらめきが求められるため、数学の問題を解く楽しさを味わえます。

また、解けそうな問題を素早く見極め、取捨選択する力も身に付きます。

思考力や判断力は大学入試のときにだけではなく、社会に出た際にビシネススキルとしても役立つでしょう

国際交流ができる

国際大会に出場すれば、海外の数学好きの学生との国際交流ができます。現地開催の際には、他国の選手たちとトランプやチェスなどをして楽しむこともあるようです。(オンライン開催の場合も国際交流会あり)

数学という共通の話題があるので、親交を深めるのは難しくありません。

英語でコミュニケーションをとる絶好の機会となるでしょう。

数学オリンピックの形式と過去に出題された問題のレベル

出題問題において前提とする知識は、整数問題・幾何・組合せ・式変形など。微積分、確率統計、行列は範囲外です。
過去問は下記の数学オリンピック財団の公式サイトで確認できます。

IMO公式サイトより第59回ルーマニア大会問題一部抜粋

参考サイト
https://www.imojp.org/archive/challenge/index.html

数学オリンピックの予選、本選、国際大会の形式と問題のレベルについてそれぞれ解説していきます。

日本数学オリンピック(JMO)予選

日本数学オリンピックの予選は難関大学の受験問題と同じレベルだと言われています。予選通過レベルなら文系志望の生徒でも勉強しだいでクリアできるでしょう。

予選の形式は以下のとおりです。

問題数12問
制限時間3時間
解答方式答えのみ記述
点数各問1点で12点満点
合格者数成績順に約200名(Aランク)
開催日毎年1月(成人の日)
開催場所各都道府県の会場(オンラインの可能性もあり)

問題は最初は簡単で、徐々に難しくなっていきます。

その年の参加人数や問題によって異なりますが、合格基準は12問中7問解ければ合格確実。最終問題は難問が出題される傾向にあり、正答率は1%以下のときもあるのだそうです。

ポイントは、整数問題をいかに解けるようになるか。過去問や数学オリンピック向けの参考書などで対策しておかないと、問題の傾向を把握するのは難しいでしょう。証明問題ではなく答えの数字を求める問題で、本選や国際数学オリンピックとは出題形式が異なるため、独自の対策が必要です。

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日本数学オリンピック(JMO)本選のレベル

本選のレベルは予選よりもさらに難しく、難関大学の入試問題よりも難しいと言われています。

本選の形式は以下のとおりです。

問題数5問
制限時間4時間
解答方式証明を要求する記述式
点数各問8点で40点満点
合格者数約20名(AAランク)
開催日毎年2月(建国記念の日)
開催場所地区別の会場

予選と同じように徐々に難しくなっていきますが、基本的に最初から最後まで難問。そのため、本選通過点数は10点台と低めです。5問中2〜3問が解ければ本選をクリアできるでしょう。優勝者には川井杯、さらに成績順に金・銀・銅のメダルが授与されます。

国際数学オリンピック(IMO)のレベル

国際数学オリンピックの問題は、超難問ばかりが出題されます。大学入試問題のレベルを超えており、思考力と独創性、そして粘り強さが問われます。

国際数学オリンピックの形式は以下のとおりです。

問題数3問ずつの計6問
制限時間2日間で4時間半ずつ
解答方式証明を要求する記述式
点数各問7点で42点満点
合格者数日本代表として6名が参加
開催日毎年7月
開催場所世界各国(毎年変わる。オンラインの可能性もあり)

2日間とも、最初の1問目が比較的解きやすく、その後の問題は徐々に難しくなっていきます。

特に3問目と6問目は超難問で平均得点が0点台であることがほとんどその日の最初の問題を解けるかどうかが銅メダル獲得のポイントです

さらに2問目と5問目が1問解ければ銀メダル、2問解ければ金メダルが近いといえるでしょう。その上で、3問目と6問目で少しでも部分点を稼げれば金メダルの可能性がさらに高くなります。

問題は、日本の高校の学習指導要領から外されたものが半分以上出題される傾向にあります。過去問で出題傾向や形式を必ず確認しておきましょう。

小学生、中学生向け「算数オリンピック」について

小・中学生が気軽に参加できる大会として、毎年6月に開催される「算数オリンピック」があります。一般財団法人算数オリンピック委員会が組織する大会で、広中平祐(ひろなかへいすけ)先生の発案で1992年から開催されています。

算数オリンピックといっても、対象が異なる5つの大会があるので注意しましょう。5つの大会は以下のとおりです。

算数オリンピック小学6年生以下対象
ジュニア算数オリンピック小学5年生以下対象
算数オリンピック キッズBEE大会小学1〜3年生対象
ジュニア広中杯中学1〜2年生対象
広中杯中学3年生対象

小学5年生以下は「算数オリンピック」か「ジュニア算数オリンピック」のどちらか1つに参加できます。

算数オリンピックは、日本数学オリンピック参加への登竜門。過去のメダリストの中には国際数学オリンピックで活躍した人もいます。大会の流れは以下のとおりです。

6月:トライアル地方大会(全国各地が会場)
7月:ファイナル決勝大会(東京・大阪・福岡の3会場)
8月:表彰式(東京)

設問数は大会によって異なりますが、どれも総合得点は100点満点です。算数オリンピックの問題の難易度は高く、中学御三家レベルかあるいはそれ以上だと言われています。
算数オリンピックは中学受験をめざす小学生に人気があり、特に5年生までに参加する子が多いようです。

数学オリンピックと同様、算数オリンピックの問題に取り組むとじっくりと考える力が身につきます。単に計算問題を解くだけではないため、算数が苦手だった子どもでも時間をかけて問題を解く楽しさを知るきっかけになる可能性も。

また、難しい問題に対してあきらめずに最後まで解こうとする粘り強さや受験問題で難しい問題が出ても動じない対応力なども身につくでしょう。

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数学オリンピックに参加して思考力と独創性を育てよう

数学オリンピックと聞くと、数学が得意な生徒だけが参加するものと思われがちですが、学校では教えてくれないようなおもしろい問題がたくさんあります。計算問題が苦手で数学が嫌いだと思い込んでいる子どもでも、考える数学が好きになるきっかけになるかもしれません。

2023年の数学オリンピックは日本で開催予定です。これを機に数学オリンピックをめざしてみませんか?

 

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この記事を書いた人
藤野こと

中学生の子どもを持つ主婦ライター。首都圏在住。
小学校受験と中学受験させた経験や読み聞かせボランティア歴10年の実績を生かし、育児関連の記事を執筆しています。
整理収納アドバイザー1級の資格があり、子どものお片づけに関する記事も得意。

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