虫めがねを絵本や図鑑にかざすと、音声や音楽が飛び出す!そんな「魔法のような虫めがね」があったら、子どもと一緒に遊んでみたいと思いませんか?
Twitterでも話題になった、絵本にかざすと音が飛び出してくる「魔法のような虫めがね」。
「機能についてもっと詳しく知りたい!」「販売開始はいつになるの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか?
そんな皆さんの疑問に答えるべく、ちいくば編集部は「魔法のような虫めがね」を開発された大日本印刷株式会社(DNP)さんにインタビュー取材をさせていただきました。
ぜひ最後までご覧ください。
魔法のような虫めがねとは
「魔法のような虫めがね」は、専用の「虫めがね」を文字や絵・写真などにかざすと、AIがそれを認識し、音声や音楽で教えてくれるという知育型の情報デバイスです。
ちいくば編集部は、開発の経緯そして製品の魅力について開発チームの阿部さんと西川さんにお話をお聞きしました。

DNP:阿部さん

DNP:西川さん
開発の経緯
―まず、「魔法のような虫めがね」開発の経緯を教えてください。
阿部さん: 当社では、未来のあたりまえとなる製品やサービスを次々と生み出していこうという取り組みが積極的に実践されており、DNPと、そのグループ会社でシステムインテグレーション等の事業を行う株式会社DNPデジタルソリューションズ(DDS)で 、Google Cloud™ の AI・機械学習サービス等を活用したハッカソン(hackathon)を実施しました。
ハッカソンとは、エンジニアがアイデアを出し合って1つのプロトタイプを作ってみよう、という取り組みですね。
世の中のハッカソンって「プロトタイプを作って終わり」ということも多いのですが、今回は、価値のあるプロダクトを作って、世の中にアウトプットしようという意気込みで始まりました。
途中、コロナ禍の影響もあり、リモート作業(参加メンバーは全国から参加)で思うように開発が進まないこともありましたが、エンジニアたちの情熱によって乗り越えることができました。
―テレワークは、新しいモノを生み出すには厳しい環境だったかと思います。ここまで辿り着けたのはエンジニアさんたちの頑張りのおかげなんですね。
阿部さん: そうですね。また、今回参加したエンジニアの中には、子どもを持つ親が多かったんですよ。製品化まであと一歩というところまで来れたのは、子どもたちに「自分たちの仕事を見てもらいたい」「子どもたちのために何か残したい」という想いがあったからかもしれません。特にICTエンジニアは、なかなか自分の仕事を子どもに見せる機会って少ないんですよね。
―自分の仕事を子どもに見てもらいたという親心が「魔法のような虫めがね」というプロダクトを生み出したんですね。素敵なエピソードをありがとうございました。
製品の特徴①
―「魔法のような虫めがね」の特徴を教えてください。
西川さん: 実感がわくと思うので、まずは触ってみてください。
(※ちいくば編集部は特別にデモ機を触らせていただきました)
西川さん: このように、絵本に専用の「虫めがね」をかざすと絵本の文字をAIが読み取り朗読してくれます。音楽が流れているのもおわかりいただけたかと思いますが、文章を分析し、場面に合ったBGMが流れるんです。
楽しい場面や怖い・悲しい場面を文章から分析し、BGMを再生しています。子どもが「感じる・体験する」という点を重視しているので、音があった方がより子どもの感性を刺激するだろうということで、こういった機能を搭載しました。
―市販の絵本でも使えますか?
西川さん: もちろん可能です。見たいものを「魔法のような虫めがね」を通して見ることで、絵本であれば音声やBGM、図鑑であれば動物などの鳴き声や説明を聞くことができます。
・虫めがねで絵本を覗くと、ストーリーや場面に合った音楽が流れる。
・虫めがねで図鑑を覗くと、動物などの鳴き声や説明が聞ける。
製品の特徴②
―そのほかに何か特徴はありますか?
西川さん: 「魔法のような虫めがね」を親子で使うと、子どもが「何に興味を持っているのか」を知ることができます。
「魔法のような虫めがね」で子どもが見た画像は、親御さんのスマートフォンに連携される仕組みになっています(※Bluetoothで虫めがねとスマホが接続する仕組み)。
そして、親御さんのスマートフォンからクラウドへ連携された画像やAIが認識したものの記録は、スマートフォンで参照できる仕組みになっています。そのため、親御さんは子どもが何を見ているか、その子が何に興味を持っているのかがわかるんです。
―子どもの探究心・好奇心を伸ばしてあげるためには、親がまず子どもを理解していることが重要ですよね。
西川さん: そうですね。それに、親の思い込みってあるじゃないですか。「この子は電車が好きなんだな」と思っていたら、実はいつの間にか生き物が好きになっていた・・・みたいな。
―よくありますね!
西川さん: 例えばずっと朗読をしている子だったら、たぶん読書家なんだろうという話になりますよね。何をどのくらい撮っているか、何を見ているかによって、その子が何に興味があるのかがわかるようになります。
そうすることで、親御さんに対して「自分の子どもは、実は〇〇に興味があるから、一緒に〇〇に取り組んでいこう」というキッカケづくりができればと思っています。
―子どもの特性や、興味関心について知っておくと、将来を見据えたサポートができるようになりますよね。 魔法のような虫めがね プロトタイプの仕組み
対象年齢について
―対象年齢について教えてください。
西川さん:3歳から6歳くらいを想定しています。ただ、認識したモノの名称を英語で発音したり、お子さんの年齢に応じて説明内容を変える機能を開発することで、対象年齢を広げることも検討しています。
今後の展望
―例えば外にいる鳥や花、昆虫など本物の生き物は認識できるんですか?
阿部さん: 可能ではあります。しかしAIの精度の課題で、なかなか認識してくれないこともあるかもしれません。写真と違い、実物の個体となると動いたり背景に他のものが映り込んだりしますので、認識が難しい場合があります。今後は、実物でも認識できるように、AIの精度を高めていきたいと思っています。
―なるほど。実物の認識はなかなか難しいんですね。
阿部さん: でも、子どもって、絵本とか図鑑よりも、人気アニメのキャラクターや、目の前にあるパソコンだったり スマホだったり・・・より身近なモノの方が興味ありますよね。
そのため、ゆくゆくは、「AIが子どもから教わる」という”子どもとAIの相互教育のような循環”ができるといいかなと思っています。
AIは機能として作るのではなく、学習して成長していくものなので、AIが答えられなかったり、間違えちゃったら、子どもが「全然違うよ!これは〇〇っていうんだよ!」と教えてあげる。それを我々がキャッチしてAIに学習させていく。そういったことを繰り返して、 現代の子ども達に合ったAIを提供していけたら…と思っています。
子どもが「魔法のような虫めがね」1個持って走り回って、何でもいいから気になったものをバシャッ!と撮る。撮ったものをAIが認識して子どもに教えてあげる。最終的にはこの状態を目指しています。
―実際に製品として発売されるのは、いつ頃になりそうですか?
阿部さん: 来年春頃を目指して頑張っています!
―来年ですか!とっても楽しみです。本日は貴重なお話をどうもありがとうございました。今後の阿部さん・西川さんのご活躍に期待しております。
編集部まとめ
今回は、AI技術を駆使した知育型の情報デバイス「魔法のような虫めがね」をご紹介いたしました。
「魔法のような虫めがね」を使って、お子さんの好奇心・探究心を引き出してあげるサポートができるといいですね。
DNPさんは現在、「魔法のような虫めがね」を使った実証実験にご協力いただける幼稚園・保育園・幼児教室などを募集しています。また、英語教育やSDGsイベント、博物館や図書館、高齢者向けサービスなど、多岐にわたる活用を検討しておりますので、本プロダクトに興味・関心を持ち、募集要項や実証実験内容について検討して頂ける場合は、下記公式サイトの「お問い合わせ」までどうぞ。
