2020年より小学校での授業が開始した『プログラミング教育』。
スタートして数ヶ月経ちましたが、実際の教育現場の反応はどのようなものなのでしょうか。
そこで今回は、6年間小学校教諭として最前線で子どもたちと接してきた筆者が、教育現場の生の声をお届けしていきたいと思います。
そもそもプログラミング教育とは?
プログラミング教育とは、2020年から必修化されたプログラミング的思考を育てる教育のことをいいます。
コードを書いたりする実践的なプログラミングを学ぶのではなく、あくまで論理的な思考力を育てるものとされています。
近年の情報技術の発展や、身の回りでコンピューターやスマートフォンが多く活用されていることからも、プログラミングが今後より必要な力となってくることが伺えますよね。そこで、小学校教育から考え方を学ぶプログラミング教育が必修化となりました。
小学校でのプログラミング教育
では、小学校のプログラミング教育では実際にどんなことを行うのでしょうか?
実は、プログラミング教育について具体的に何をするかということは正確に定めらておらず、まだきちんと決まっていないというのが現状です。教育現場では、各校それぞれの判断によって、授業内容を決めていくことが今の主流となっています。
では、実際の教育現場ではどのように授業が行われているのでしょうか。
Scratchを用いた授業

私は2つの小学校で勤務をしましたが、どちらの学校も『Scratch』というアプリを使った授業を行っていました。
プログラミング教育が始まる前には、プログラミング教育の指導方法についての職員研修が行われましたが、研修の中でも使用されたのは『Scratch』でした。おそらく、このアプリが全国の小学校で1番多く使用されているのではないでしょうか。
使用方法も比較的シンプルで、子どもたちへの課題の出しやすさなども、授業にとても適しています。
Scrachを使って実際にプログラムを組んだり、ゲームを作り上げたりと、出来る可能性の幅も広いです。
Viscuitを用いた授業
「Scratch」より人気は劣りますが、『Viscuit』を使用して授業を行っている学校もあるようです。
私は実際にViscuitを使用して授業を行っている風景を目にしたことはありませんが、教育現場を回っているITアドバイザーの方は、『Viscuit』を使って指導を行なっていました。
Scrachは、『コンピューターをどう動かすか』と指示をすることに重きを置いてプログラミングを組んでいく考え方がメインとなりますが、Viscuitは『コンピューターに何をさせるか』を考えるやり方に重点が置かれています。
例えば、「1から10まで全て足した合計を出して」という課題に対し、Scrachはその答えまでいく通りの答えの出し方を指示出ししますが、Viscuitでは、PCになにをさせるかだけを考えて、その答えの出し方(細かい方法)はPCに自動で考えさせる手法を取っています。
まだ馴染みが浅く、教育現場に広く普及していくまでにはもう少し時間がかかりそうですが、Scrachの延長のアプリとして、お子さんに触れる機会を与えてみても良いかもしれません。
実際に授業を受けた子どもたちの反応は?
普段から、スマートフォンやタブレット、PCなどに触れる機会が多く、ゲームなどをしていることもあって「機械=楽しい」という考えが強い子どもが多いです。なので、基本的には積極的に取り組む姿勢が伺えます。
わからない子がいると、出来る子がそばによって率先して教えてあげているという光景もよく見られました。子どもたちは、得意なことを人に聞いてもらえることがとても好きなので、教えてあげることも楽しくてしょうがない様子が見て取れます。人に教えることによって、より自分自身の理解も深まっていくという相乗効果も生まれています。
そのように、生徒同士の教え合いが生まれる中でも、質問をすることが苦手で、ひとりで悩んでしまう生徒もいます。特に、小学校高学年になってくると、人に質問することを恥ずかしいと感じている生徒も出てきます。
プログラミング学習の授業では、多くの場合最初に一連のやり方を説明します。(教師用パソコンの画面を見せながら、一通りの流れを説明していきます。)そのあとは、自力で学習を進めていかなければいけません。なので、教師の指示を1度で理解できず、質問に抵抗がある子は学習が止まってしまうことになります。
先生方も、まだまだはじまったばかりで模索しながらの授業なので、生徒ひとりひとりへのフォローアップが手薄になってしまいがちです。今後、さらなる授業展開をしていく上で、苦手意識の高い生徒への手厚いサポートは必須課題となってくるでしょう。
プログラミングを得意としている子の中には、あらかじめ自宅でプログラミング学習を行なっているケースもありました。授業以外の時間もプログラミング学習をするわけなので、必然的に能力が上がっていきますよね。
あらかじめ慣れておくという点でも、ご家庭内でも遊び感覚で取り入れるのは非常にオススメです。

まとめ
2020年にスタートしたプログラミング学習。まだ始まったばかりということもあり、細かいところに不備があったり、満足な授業が展開できない場面も多々見られます。
しかし、そのような中でも、普段からPCやタブレットに馴染みのある生徒たちは、大きな抵抗なく授業を楽しく受けている姿が伺えます。
ぜひご家庭でも、遊び感覚でプログラミングアプリに触れる機会を増やし、授業をより楽しめるよう工夫されてみてください。