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デザイン思考をわかりやすく解説! ― 子どもに必要なアート教育とは

2020年から小学校で必修化されるプログラミング教育
このプログラミング教育が導入される背景には、新しい時代を担う子どもたちに
(1)文章や情報を正確に読み解き、対話する力
(2)科学的に思考し、吟味して活用する力
(3)価値を見つけ出す感性と力、好奇心・探求心
この3つの力をはぐくむSTEAM教育が必要であるという文部科学省の意図があります。
STEAM教育とは、Science(科学) Technology(技術) Engineering(工学)Art(アート)Mathematics(数学)の頭文字を取ったものです。これからの教育は、このSTEAMに主眼を置き、3点を重視する、というのです。
1点目、2点目が比較的わかりやすいのに対し、3点目の「価値を見つけ出す感性と力、好奇心・探求心」というのは、わかりにくいかもしれません。
3点目は私たちには耳慣れない「デザイン思考」という言葉を、別の表現で言い換えようとしています。STEAMの中に「A(アート)」が入っているのも、芸術的感性を養うというより、「デザイン思考」を育成することに主眼が置かれているのです。
これからの教育のカギとなってくる「デザイン思考」という言葉を理解しておけば、新しく導入されるプログラミング教育が、従来の算数や国語の授業とは、どういった点で異なるのかがわかってきます。そこで、ここではデザイン思考とは何か、実際にどのように身につけることができるのかについて、ご紹介します。

「デザイン」とは? デザイン思考とは?

デザイン思考を理解するには、まずデザインとはそもそもどんな意味なのかを考えていかなければいけません。
デザインという言葉で多くの人が想像するのは、服や車、デザイナーズマンションと呼ばれるような、おしゃれな建物ではないでしょうか。しかし、実際には「design(デザイン)」という言葉には、「考案する」「計画する」「~の目的で作る」という意味があります。たとえば車のデザインは、形や色を決めて、見た目を美しくするためだけに行うものではありません。

デザイナーは、この車に乗る人はどんな人か、何のために車に乗るのか、その人は車に何を求めているのか、車に乗ることで、どのような問題を解決しようとしているのかを考えます。さらにその車を、従来の車にはない、新しい切り口のもの、なおかつ消費者に受け入れられるものとして提案しようと考えます。

簡単に言うと、『ユーザー側の本質的な欲求を捉え、解決や発展を促す為のプロセス』です。
このようなデザイナーの思考を「デザイン思考」と呼び、多くの企業だけでなく、教育機関が取り入れようとしているのです。

デザイン思考のプロセス

デザイン思考のワークでは、かならず何かを作ってみます。その手順は、基本的に次のようなものです。

①リサーチ(観察する)

最初に、問題の解決が求められているテーマが与えられ、チーム全員で、誰の、どのような問題なのか、その問題がどうして起こったのかを多角的に調査します。現場を観察し客観的に状況を把握するだけでなく、インタビューを行ったり共に体験することで、内側から問題を観察することも行います。

 

②分析(「なぜ」を探す)

リサーチで得た情報を「分析」します。「なぜそうなのか」「~だからではないか」「だとしたら、~ということではないか」とメンバーが思いついたことを、どんどん付箋に書き出し、貼っていきます。

 

③統合(仮説に基づいて、情報を統合する)

分析で挙がった仮説を統合し、今まで表に現れてこなかった見えてこなかったニーズを見つけます。次に「どうしたらそれが解決できるだろう」と、みんなが次々にアイデアを出し、付箋に書いて貼りだします。大量の付箋の中から、「実現可能なもの」「これまでなかったもの」など、テーマを決めて選び出し、最終的にひとつのアイデアにまとめます。

 

④ビルド(アイデアをもとに試作品を作成する)

チームで作ったアイデアをプロトタイプに落とし込むプロセスです。プログラミングの授業であれば、ビジュアルプログラミングソフトを使って、試作品をつくります。

 

⑤テスト(試作品を見せ、フィードバックをもらう)

試作品ができあがったら実際に使ってもらい、フィードバックをもらいます。それをもとに、チームで話し合い、さらに試作品に改良を加えていきます。「デザイン思考」では、「とにかく作ってみる」「失敗する」ことが重要です。これまでの「知識の獲得」を目標とした授業から、問題を解決する何かを作り、新しい理解を生み出すことが求められているのです。

 

これら5つの段階は、決して順番通りに行わなければいけないというわけではなく、それぞれ互いに影響しあいながら同時に進行したり、行ったり戻ったりしたり、同じものが繰り返されたりと、考え方が自由です。

小学校に上がる前から応用できる

学校で行われるプログラミングの授業がどのようになるかは、まだまだ流動的です。教える側の先生に対しても、どこまで準備が進んでいるのか、疑問視する声もあります。
しかし、AIの発展に伴い、新しい時代に求められているのが「デザイン思考」であり、数学やテクノロジー、エンジニアリングとならんで、新しい発想を生み出すアートであることは間違いありません。
そのために、お子さんには小学校に上がる前から、砂、水、粘土、絵具やクレヨン、ブロックなどを使って、何かを作ることに慣れさせてあげてください。

まとめ

子どもたちは、大人が近くにいて、自分の創作を認めてくれることを知っていると、特に何も教えなくても、自発的にもっとうまくやりたいと工夫します。
親の側も、子どもの関心がどこにあるかを観察し、「それはなに?」「なぜそれを描いたの?」と声かけをし伸ばすように気を配ってあげてください。
プログラミング教育が始まるのは、小学校に上がってからですが、デザイン思考の基礎は、幼児期に夢中になって何かを作ったことにあります。
ぜひご自宅でも、「ものづくり」がしやすい環境を整え、一緒に「デザイン思考」を実践してみてはいかがでしょうか。
参考文献:
『未来のイノベーターはどう育つのか 子供の可能性を伸ばすもの・つぶすもの』(トニー・ワグナー著 藤原朝子訳 英治出版)

『世界を変えるSTEAM人材 シリコンバレー「デザイン思考」の核心』(ヤング吉原麻里子 木島理恵 朝日新書)
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